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脱気筒とは?仕組みと用途について解説

2023.08.04

脱気筒は防水層の下に溜まった水蒸気を外へ逃す役割があります。
水蒸気を放置すると膨張と収縮により防水層が劣化し、雨漏りなどにつながるので、脱気筒を設置しておくことをおすすめします。

この記事では脱気筒の仕組みやおすすめ商品、取りつけ方についてご紹介します。

脱気筒とは水蒸気を外へ逃すもの

脱気筒とは?仕組みと用途について解説

建物の屋上やベランダやバルコニーといった雨に濡れる場所で、銀色の筒のようなものが並んでいるのを見かけることがあるでしょう。
これは「脱気筒(だっきとう)」とよばれるもので、防水層の下に溜まった水蒸気を外に出す仕組みになっているものです。

水分を含んだままにしておくと、水が蒸発することによる体積膨張が起き、防水層が水ぶくれのような「膨れ」とよばれる現象が起こり、防水層が劣化し雨漏りしてしまう可能性があります。

こうしたことを防ぐ役割があるので脱気筒です。

膨れが起こる原因は水分を発散できないから

外壁が長雨などで濡れ続けると撥水、下地と防水層の間に水分が溜まっていきます。
溜まった水分は太陽などの熱にさらされ、水蒸気へと変わり逃げようとします。

このとき水蒸気の逃げ場がないと「膨れ」が起こってしまうのです。

膨れが起こるということは、下地と防水層のあいだに隙間ができてしまうということです。
膨れを放置すると防水層が伸び縮みを繰り返し、最終的には伸びたままの状態で元に戻らなくなってしまいます。

膨れを繰り返し劣化した防水層を放置しておくと、穴があいたり裂けたりします。破れた穴から雨漏りをすることも考えられるでしょう。

膨れはきちんと施工していても起こることです。
膨れを見つけたら、そろそろ防水層のメンテナンスをしなければいけない時期だというサインなのだと思ってください。

防水工事の3つの種類

防水工事の一環として屋上やベランダ、バルコニーに脱気筒を取り付けます。
ここでは代表的な防水工事を3種類紹介します。

1.アスファルト防水は防水性が高い

アスファルト防水は、アスファルトを含ませた布を、溶かした液体のアスファルトで貼りつけていくことをいいます。

2. ウレタン防水は費用を抑えつつさまざまな場所に使える

ウレタン防水とは、液体のウレタンを床や壁などの立ち上がり部へ塗り防水施工することをいいます。
液体のため仕上がりにつなぎ目がなく、段差やカーブしている場所にも使えるのが魅力です。

FRP防水と比べると費用は抑えられます。

3. シート防水は耐久性が高く安価

シート防水と呼ばれるものには大きくわけて2つの種類があります。
一つはゴムシート防水で、その名の通りゴムを使ったシートを貼り、防水施工するものです。

次に塩ビシート防水はシートに塩化ビニール樹脂というものを使って作られています。
シート防水は他の防水工法と比べ費用を抑えられるのが魅力です。

脱気筒はステンレス製がおすすめ

脱気筒には大きく分けてステンレス製、アルミ合金製、塩化ビニール製の3種類があります。
なかでもおすすめはステンレス製の脱気筒です。

アルミ合金製はステンレスに比べると強度が劣り、塩化ビニール製は温度変化や紫外線に弱いという点があります。

脱気筒は屋上やベランダ、バルコニーの中央部分、さらに日照時間が長い場所に取りつけます。
強度がないと間違えて蹴飛ばしてしまった際に壊れてしまい、壊れた部分から水が入り漏水する可能性があります。

塩化ビニール製では、日を遮るものがない場所だと紫外線劣化で金属製より耐久性が低いでしょう。

ステンレス製は他と比べ強度が高いのが魅力で、サビにも強いため脱気筒の素材に適しているのです。

ステンレス脱気筒のおすすめ商品

防水用アルミ製品の加工や販売を行っている白水興産では、5種類の脱気筒を取り扱っています。
白水興産の脱気筒はステンレス製です。
強度があり、サビにも強いため長くお使いいただけるでしょう。

DT-500

脱気筒とは?仕組みと用途について解説

DT-500はウレタン防水、シート防水向けの商品です。
外筒径50φ、内筒径27.2φ、高さ202cmとコンパクトで、屋上やベランダの景観を崩しづらいのも魅力です。

小さな見た目とは裏腹にしっかりとした脱気性能も備えています。
脱気筒を目立たせず、しっかりと防水対策したい方におすすめです。

DT-760W

脱気筒とは?仕組みと用途について解説

DT-760Wはアスファルト防水の断熱仕様なので、内筒が二重仕様となっています。
断熱下用にビスが4本付いており、1個単位から出荷できます。

脱気筒は床面で一番高く日照時間が長い場所に取りつける

脱気筒とは?仕組みと用途について解説

脱気筒を取りつける場所は、床面でもっとも高い位置であり、日照時間が長いところが好ましいでしょう。
さらにコンクリート目地部分であればより効率よく水蒸気を逃せます。

ウレタン塗膜防水の場合は、通気シートに穴を空け、そこに合うよう脱気筒を取りつけます。
補強材をつけ、防水剤を塗れば完成です。

シート防水の場合は、まず防水層に穴を空けます。
空けた穴の上に脱気筒の穴が合うよう取りつけ、プライマー処理をし、防水層を増し張りします。最後にシーリング処理をすれば完成です。

脱気筒は水蒸気を逃して雨漏りを防ぐ役割がある

脱気筒は床面の膨れを防止する仕組みのものです。
屋上やベランダ、バルコニーなどの床は水を防ぐため防水層があります。雨などの一部が外壁より建物に吸水され躯体と防水層のあいだに水分が残ります。
この水分が太陽の熱などで水蒸気に変わり、気体が上に上がっていくことで膨れが起こるのです。

膨れを放っておくと、防水シートが破けて雨漏りなどをしてしまう可能性があります。
こうしたことを防ぐために脱気筒を取りつけるのです。

脱気筒はさまざまなメーカーから出ていますが、選ぶ際には防水との相性や、素材から選びましょう。